建設業の許可が必要な工事とは?
建設業を営もうとするときは、軽微な建設工事のみを請け負う場合を除いて、建設業の許可が必要です。
軽微な建設工事とは、工事1件の請負金額が、500万円未満の工事(建築一式工事の場合は、1,500万円未満の工事または延べ面積が150㎡未満の木造住宅工事)のことをいいます。民間工事か、公共工事かは関係ありません。
▼参考記事
・委託契約であれば建設工事の請負契約に該当しないから、建設業許可は必要ないのか?
・建設業許可を持っていない 500万円未満になるように契約書を分けると問題ない?
・元請から提供された材料は工事請負代金に含まれる?
・建設業許可の取得のタイミングは?受注前?工事前?
大臣免許と知事免許
2つ以上の都道府県に営業所を設けて営業する場合は国土交通大臣許可が必要です。
1つの都道府県のみに営業所を設ける場合は各都道府県知事の許可が必要です。
※営業所とは常時建設工事の請負契約を締結する事務所をいいます。これら以外でも他の営業所に対して請負契約に関する監督指導を行うなど、建設業に係る営業を実質的に関与する場合も、ここでいう営業所になります。
▼参考記事
特定建設業と一般建設業
特定建設業は、発注者から直接請け負う1件の請負工事について、下請負人に施行させる額の合計額(税込み)が4,500万円以上(建築一式工事の場合は7,000万円以上)となる場合に必要です。
一般建設業は、特定建設業以外の場合となります。
注1 発注者から直接請け負う金額(税込み)については、一般、特定にかかわらず制限はありません。
注2 下請負人が更にいわゆる曲げ請負人に施行させる金額が上記額以上であっても当該下請負人は特定建設業の許可を受ける必要はありません。
注3 「下請負代金の額」について、発注者から直接請け負う一件の建設工事につき、元請負人が4,500万円(建築一式工事にあっては、7,000万円)以上の工事を下請施工させようとする時の4,500万円には、元請負人が提供する材料との価格は含みません。
▼参考記事
建設工事の種類と業種
建設工事は、土木一式工事と建築一式工事の2つの一式工事と27の専門工事に分類され、それぞれに応じ29の業種が法律に定められています。
建設工事の種類と業種
建設工事の種類 | 業種 |
土木一式工事 | 土木工事業 |
建築一式工事 | 建築工事業 |
大工工事 | 大工工事業 |
左官工事 | 左官工事業 |
とび・土工・コンクリート工事 | とび・土工工事業 |
石工事 | 石工事業 |
屋根工事 | 屋根工事業 |
電気工事 | 電気工事業 |
管工事 | 管工事業 |
タイル・れんが・ブロック工事 | タイル・れんが・ブロック工事業 |
鋼構造物工事 | 鋼構造物工事業 |
鉄筋工事 | 鉄筋工事業 |
舗装工事 | 舗装工事業 |
しゅんせつ工事 | しゅんせつ工事業 |
板金工事 | 板金工事業 |
建設工事の種類 | 業種 |
ガラス工事 | ガラス工事業 |
塗装工事 | 塗装工事業 |
防水工事 | 防水工事業 |
内装仕上工事 | 内装仕上工事業 |
機械器具設置工事 | 機械器具設置工事業 |
熱絶縁工事 | 熱絶縁工事業 |
電気通信工事 | 電気通信工事業 |
造園工事 | 造園工事業 |
さく井工事 | さく井工事業 |
建具工事 | 建具工事業 |
水道施設工事 | 水道施設工事業 |
消防施設工事 | 消防施設工事業 |
清掃施設工事 | 清掃施設工事業 |
解体工事 | 解体工事業 |
注1 土木一式工事及び建築一式工事の二つの一式工事は、他の27の専門工事と異なり、総合的な企画、指導及び調整のもとに土木工作物又は建築物を建設する工事で、原則として元請の立場で総合的なマネージメント(注文主、下請負人、監督官庁、工事現場近隣等との調整や工事の進行管理等)を必要とし、かつ工事の規模、複雑性からみて総合的な企画、指導及び調整を必要とし、個別の専門的な工事として施工することが困難であると認められる工事です。
注2 一式工事の許可を受けていれば、関連する専門工事の請負はできると思われていますが、専門工事だけを請け負う場合は、専門工事について許可を受ける必要があります。例えば、建築工事業の許可を受けている建設業者がインテリア工事を請け負う場合は内奥仕上工事業の許可が必要となります。
▼参考記事
・建築一式工事の許可があれば、どんな工事でも請負えるの?
・リフォーム工事は建築一式工事があれば大丈夫?
・設備の撤去工事は、解体工事になる?
・太陽光パネルの設置工事 屋根に設置する場合は屋根工事と電気工事どっち?
・看板設置工事は、とび・土工・コンクリート工事と鋼構造物工事どっち?
・機械設置工事は、とび・土工・コンクリート工事と機械器具設置工事どっち?
・上下水道や下水道の工事は、管工事と水道施設工事どっち?
区分ごと業種ごとの許可が必要
建設業の許可は特定建設業、一般建設業の区分ごとに、また、業種ごとに受ける必要があり、同時に2つ以上の業種の許可を受けることができます。ただし、1つの業種に関してはは、特定建設業及び一般建設業に重複して許可をうけることができません。
また、許可を受けた後に、新たに別の業種の許可を追加で受けることもできます。なお、許可を受けていない業種については、発注者の利便性の観点から、許可を受けている本体工事と併せて許可を受けていない付帯工事についても請け負うことができます。
注【付帯工事】とは、以下により判断します。まったく関連のない二つ以上の工事は該当しません。
ア 一連の工事又は一体の工事として施工するほかの工事
イ 本体工事を施工した結果、発生した工事又は本体工事を施工するにあたり必要な他の工事
申請の種類
申請区分 | 内容 | |
1 | 新規 | 有効な許可を受けていない者が申請する場合 |
2 | 許可換え新規 | 国土交通大臣の許可を受けていた者又は大阪府以外の知事の許可を受けていた者が、大阪府内のみに営業所を設置して大阪府知事の許可を申請する場合 ・国土交通大臣許可⇒大阪府知事許可 ・他府県知事許可⇒大阪府知事許可 |
3 | 般・特新規 | 一般建設業(又は特定建設業)のみの許可を受けている者が、新たに特定建設業(又は一般建設業)の許可を申請する場合 |
4 | 業種追加 | 一般建設業(又は特定建設業)の許可を受けている者が他の業種について一般建設業(又は特定建設業)の許可を申請する場合 |
5 | 更新 | 既に受けている建設業の許可について、そのままの要件で続けて申請する場合 |
6 | 般・特新規+業種追加 | 3と4を1件の申請書により、同時に申請する場合 |
7 | 般・特新規+更新 | 3と5を1件の申請書により、同時に申請する場合 |
8 | 業種追加+更新 | 4と5を1件の申請書により、同時に申請する場合 |
9 | 般・特新規+業種追加+更新 | 3と4と5を同時に申請する場合 |
注意②:5,7,8,9について、前回許可を受けてから今回の申請(更新)までに、役員・営業所・経営業務管理責任者・専任技術者等の変更が生じていた場合は、更新の申請前に変更届を提出する必要があります。
許可の有効期間
許可の有効期間は許可のあった日から5年目の当該許可があった日に対応する日の前日をもって満了します。許可の有効期間の満了後も、引き続き当該許可に係る建設業を営もうとする建設業者は、有効期間の満了する日の30日前までに更新に係る許可申請書を提出しなければなりません。
なお、許可の更新の申請があった場合において、従前の許可の有効期間の満了する日までに更新の申請に対する処分がなされないときは、従前の許可の効力はその処分がなされるまで有効となります。※有効期間満了の日を過ぎた場合、更新申請の受付はできず、新規申請となります。
許可の有効期間の調整(許可の一本化)
同一の建設業者で、許可日の異なる許可を2つ以上受けている場合は、更新申請する際に、有効期間の残っているほかのすべての建設業の許可についても同時に1件の許可更新として申請し、許可日を同日にすることができます。これを「許可の有効期間の調整(許可の一本化)」といいます。
また、すでに許可を受けたあと、業種追加の申請をしようとする場合にも、有効期間の残っているほかのすべての許可についても同時に許可の更新を申請し、許可を一本化することができます。ただし、この場合は、現在有効な許可の満了日まで30日以上残っていることが必要です。
※「許可の有効期間の調整(許可の一本化)」をする場合は、すべての許可日を同日にすることになります。一本化する業種を選択することはできませんので、ご注意ください。